新型コロナウィルス感染症のパンデミック下で開催された、異例尽くしのツール・ド・フランス2020年大会が、9月20日に閉幕しました。
ランキング形式で私的振り返りをしてみたいと思います。
目次
第6位:新型コロナ影響で開催日程変更
今大会は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、当初は6月27日開幕の予定だったところを、8月29日からに変更されて開催されました。
開催自体が危ぶまれる状況だったものの、約2ヶ月遅れで開催となりました。
なお、大会の規模の縮小も懸念されましたが、コースについては当初からの変更はありませんでした。
あくまで日程のスライドという措置です。
第5位:超人ファンアールトの衝撃
🇫🇷 #TDF2020
That feeling 🏆🤩#samenwinnen #ForOurBlackandYellow pic.twitter.com/IG9bTw2N5f
— Team Jumbo-Visma cycling (@JumboVismaRoad) September 4, 2020
今大会最も驚かされた選手のひとりが、ユンボ・ヴィスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)でした。
リザルトとしては、第5ステージと第7ステージを制して今大会ステージ2勝。素晴らしい。
いや素晴らしいのだけど、、それだけでは語れない凄さがありました。
区間優勝を果たしたどちらのステージも、直前まで総合優勝を目指す自チームの隊列の牽引を勤め上げた後のスプリントでした。
グランツールのスプリントステージといえば、チームに守られてゴール前まで安全に運んでもらったエーススプリンターが最後に勝負を繰り広げるもの。
それで勝っちゃうかね??
かと思えば、1級・超級クラスの山でリーダーチームの山岳アシストとして大活躍。。
なぜ君がそこにいる? という感じ。
ツールのスプリントステージを獲っちゃうようなスーパースプリンターは、山岳ステージではタイムアウトにならないようにひたすら我慢、命カラガラしのぐのがフツウでしょう。
彼のことを「マルチプレイヤー」と軽く呼んで良いのか。『超人』では?
タイムトライアルも速かったし、狙いを定めてトライすれば、ポイント賞も、山岳賞も、総合優勝さえも獲れるんじゃないかとすらに思えます。
登れるスプリンターを超える、登れ過ぎるスプリンター?
いや、ピュアスプリンターより平坦が速いクライマー?
自転車界の大谷翔平?
なんて呼称していいかわからないんですが、とにかく凄い選手が出てきたなぁという感じ。
第4位:サガンがポイント賞を逃す。代わってサム・ベネットが戴冠。
What a stage, what a win, what a rider, what a team 😍😍😍#TDF2020 #TheWolfpack
Photo: @GettySport pic.twitter.com/46eIkhw9qi— Deceuninck-QuickStep (@deceuninck_qst) September 20, 2020
2010年代からツール・ド・フランスを見始めた私にとって、ツールのポイント賞の緑ジャージ(マイヨ・ヴェール)は基本的にペーター・サガンが着ているものでした。
それもそのはず。2012年から2019年までの8年間のうちじつに7回、サガンがマイヨ・ヴェールを獲得しています。この間唯一逃したのが2017年、途中で大会を去った(カベンディッシュを落車させて失格になった)年ですね。
ツールを走ればマイヨ・ヴェール。それがサガン。
そのサガンが今年は最後まで走り切ってポイント賞を逃しました。これはひとつの事件です。
代わって今年ポイント賞を獲得したのが、サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ所属)でした。
徹底的にサガンをマークした自身のレース運びを指して「自分の走り方は他の選手にフラストレーションを与えているだろう」なんてコメントも出していたベネット。そこは確かに当たらずも遠からず。向こうに回すのが人気者のサガンであることもあり、ベネットが手堅くじわじわポイント賞を確定させてゆく展開は、なんとなーく見ていてツマラナイ。
しかし、そんな雰囲気も最終ステージ、華のシャンゼリゼのゴールスプリントを制したことで吹き飛ばしましたね。
なら文句ないっす。まさに完全勝利。おめでとうございます。
第3位:史上2番目の若さの新総合王者の誕生
2020年のツール・ド・フランスを制し総合チャンピオンに輝いたのはタディ・ポガチャル。
若干21歳11ヶ月での戴冠で、史上2番目の若さの新王者の誕生となりました。
ちなみに大会史上最も若い総合王者はアンリ・コルネ氏というフランス人選手で、なんと1904年大会のことだそうです。
100年以上前だと今とは大会自体がだいぶ違うかたちのものだったでしょうから、今回のポガチャルの優勝は「戦後最も若い」「近代ツールで最年少」なんていう言われ方もしていますね。何にせよ偉業と言えるのでしょう。
ポガチャルはスロベニア出身で、スロベニア人選手によるツール制覇は史上初めて。
また所属チームはUAEチーム・エミレーツ。中東資本のチームが大会を制したのもこれまた史上初だそうです。
ポガチャルは今回が自身ツール・ド・フランス初参加で、総合優勝。
また、山岳賞のマイヨ・アポワとヤングライダー賞のマイヨ・ブランも受賞し、総合優勝のマイヨ・ジョーヌと合わせて3冠達成となりました。
とまあ、異例尽くしの新チャンピオンということですね。
そして、勝ち方も劇的でした。。
第2位:総合優勝争い、最後に大逆転劇が待っていた。
前述のとおり、ツール・ド・フランス2020で総合優勝を果たしたのはスロベニアの新星ポガチャル。
でも、最終日のほんの1日前までは、誰もがログリッチの総合優勝を信じて疑っていなかったのではないでしょうか。
そういうときに奇跡は起こる。
実質的に総合争いが決着する第20ステージの個人タイムトライアル。
首位ログリッチから57秒差の2位で出走したポガチャルが爆発的な走りを見せ、逆に59秒差をつけて大・逆・転勝利。
ログリッチは第9ステージ以降堅守し続けてきた総合首位の座から最後の最後に陥落。
最終出走で最後にゴール地点に帰ってきて、まさかの敗北が確定して呆然とした表情で息を荒げて座り込んでいたログリッチの様子は、この大会を象徴する画だったと思います。
その歴史的な瞬間を見逃した私
私、寝ました。。
ログリッチが出走してから15~20分くらいは観ていたかな。
それも寝落ちしたわけではなく、自ら寝ることを選択して。
だって、あそこから逆転があるなんてまっったく思わなかったから!
ログリッチなんてタイムトライアル大得意だし。
そもそも今大会のユンボ・ヴィスマは完璧なレース運びだったと思います。シンプルに強いと感じました。
エースのログリッチはそんなチームに守られて、自身も余力を残して最後得意のタイムトライアルに臨む、そういうふうに見えていました。というかみんなそう見てたと思います。
まさか歴史的な逆転劇が起こるなんてねぇ〜。
そしてそれを見逃すなんてねぇ〜。
ダメですねぇ。
第1位:コロナ禍を完走した奇跡のスポーツイベント
この世界屈指の大スポーツイベントが無事に最後まで運営され、完結した。今年はこれに勝るものはないでしょう。
開催できないんじゃないかと思われた大会が、延期の末、開幕。
開幕はしたものの、今大会は最後までたどり着くことはできないんじゃないかという空気が充満するなか、無事完走。
仮に完走できたとしても、総合優勝争いに絡む選手・チームから感染者が出て例えばマイヨ・ジョーヌが大会を去るなんてことになったら最悪、、そんなことも心配されましたが、大会期間中選手の感染はゼロ。影響がなかったどころか、最後は誰もが驚く逆転劇で総合争いは大いに盛り上がりました。
超・厳戒態勢には違いなかったものの、人類は、やりゃあ、できる。
我々の愛するツールがコロナに勝った。
ちょっと感傷的にもなりましたね。
まとめ
- 第6位:コロナ影響で開催日程変更 8/29~9/20
- 第5位:ワウト・ファンアールトが凄すぎた
- 第4位:Mr.マイヨ・ヴェールことサガンが王座陥落
- 第3位:史上2番目/戦後最年少の総合王者誕生 タディ・ポガチャル
- 第2位:最後の最後に大逆転劇で総合争い決着
- 第1位:ツールがコロナに勝った!パンデミック下の大会が無事に完結
2020年大会は新型コロナのこと無しには語れないけれど、それでも上記6つのポイントのうち4つは純粋に競技の話題で、それが嬉しく思います。
選手・チームスタッフ・大会運営者の皆さんの努力に感謝。
今年できたんだから来年もできる!楽しみにしています。
関連記事です。
▼ツール観るなら「スカパー!」。2020年もツール開幕に合わせて8月から視聴開始、ブエルタが終わる11月に解約というスケジュールでいきます。再加入・解約はカンタン。
スカパーの解約は簡単/再加入も簡単▼2021年の、ツール・ド・フランス含むグランツールの開催日程をまとめています。
2021年の世界3大自転車ロードレースの開催日程は?(20年はCOVID影響で大変更!)