西暦2019年は30年間続いた平成の元号が変わる年ですね。
それに因んで、データから平成最高の野球選手を探る 平成“最高”打者は誰だ? 30年間の安打、本塁打、打点トップは… という興味深い記事を見かけました。
平成の30年間は西暦で言うと1989年〜2018年にあたります。
野球ではしばしば「記憶に残る選手」と「記録に残る選手」なんて言い方をしますが、これはデータから見る「記録」のランキングになります。
では、野球選手を語るときはやっぱり敬称略でいかせて頂きます!
目次
日本プロ野球の平成最高打者は金本ですって
元記事を見ると、広島カープ・阪神タイガースで活躍した金本知憲が圧倒的な数字を残していることがわかります。
- 通算安打数 2539安打(1位)
- 通算本塁打数 476本塁打(1位)
- 通算打点 1521打点(1位)
主要三部門でいずれも1位です。
数字で見て気づくことってありますね。こうなるんですね。
現役21シーズンが1992年(平成4年)〜2012年(平成24年)と、ばっちり平成に入っていたこともこの結果のひとつの要因でしょう。
史上2位の連続試合出場を作った金本は、ほとんど休むことなく試合に出続けたので、積み上げ型の数字では傑出している。
超優秀な打者がとにかく試合に出続けた結果のこの数字ということですね。
金本って凄い選手だったんだなあ。。
と改めて思う一方で、「でも最高打者って…他にもいたような」というモヤモヤ感もちょっとありませんか?私はありました。
平成最高の日本人打者は誰だ?
そう、元記事の数字は、見出しだけ見るとわかりませんがあくまでNPB=日本プロ野球 での通算成績です。
つまりメジャーリーグに挑戦した選手のアメリカでの成績が含まれていません。
そうなると、平成における最高の「日本人」打者が気になってきます。
これからは優れた日本人選手がアメリカ・メジャーリーグに活躍の場を移すケースがますます多くなるでしょう。トップを争うような実力の突出した選手ほど。
こういった通算成績の算出・比較の仕方が難しくなってきます(もうなっています)。
正解はありませんが、日本人選手の場合は単純に日米通算で計算するのが一番公平に近い、というのが一旦の私の考えです。
さて日本人メジャーリーガーを含めて「平成最高の日本人打者」を考えると、出てくるのはやはりイチロー(平成4年デビュー)・松井秀喜(平成5年デビュー)の2人ではないでしょうか。
日本プロ野球の平成最高打者 金本とイチロー・松井(秀)の日米通算成績を比べてみます。
安打数 | 本塁打数 | 打点 | |
金本 (NPB最高) | 2539 本 | 476 本 | 1521 打点 |
イチロー | 4367 本 (1位) | 235 本 | 1309 打点 |
松井 | 2643 本 | 507 本 (1位) | 1649 打点 (1位) |
日本プロ野球の成績では金本がトップを独占した「積み上げ型」打撃成績の3部門ですが、メジャーリーガーの2人を加えると、イチローと松井で1位を分け合う結果になりました。
イチローと松井は打者としてのタイプが違うので比べづらいですね。
リーグを問わない平成最高の日本人打者はこの2人、というのが私見です。
- 不滅の安打記録を打ち立てたイチロー
- NPB:首位打者 7年連続7回/打点王 1回/盗塁王 1回/パ・リーグMVP3回
- MLB:首位打者 2回/盗塁王 1回 /ア・リーグMVP 1回/シーズン最多安打記録/シーズン200安打 10年連続10回
- 3部門すべてで金本を上回った松井秀喜
- NPB:首位打者 1回/本塁打王 3回/打点王 3回/セ・リーグMVP 3回
- MLB:ワールドシリーズMVP 1回
松井の場合はコト通算成績に関しては、もし日本プロ野球で選手生活を全うしていれば数字はこんなもんじゃ済まなかったでしょうねぇ。
ええ完全にタラレバです。でもこういうのを考えるのも楽しいのです。
「平成最高の日本人打者」イチローは平成が終わるのと時を同じくして、現役生活に別れを告げました。
平成最高の右打者は誰だ?
さて気づくと、「NPB最高」の金本も、リーグの垣根を無くした「日本人最高」のイチロー・松井も、みんな左打者なんですよね。
そうなると次は平成最高の右打者って誰なんだ?も気になってきます。
右打者に関しては日本人メジャーリーガーのことは考慮に入れなくて良いでしょう。候補者に影響がありません。
元記事の日本プロ野球の各部門10傑から右打者だけをピックアップして並べてみます。
安打数 | 本塁打数 | 打点 | 打率 | |
1位 | 宮本慎也 2133本 | 清原和博 434本 | 中村紀洋 1348打点 | 内川聖一 .307 |
2位 | 谷繁元信 2108本 | 小久保裕紀 413本 | 小久保裕紀 1304打点 | A.カブレラ .303 |
3位 | 中村紀洋 2101本 | 中村紀洋 404本 | 新井貴浩 1303打点 | 和田一浩 .303 |
4位 | 古田敦也 2097本 | 山崎武司 403本 | 清原和博 1292打点 | A.ラミレス.301 |
5位 | − | 中村剛也 385本 | A.ラミレス 1272打点 | − |
6位 | − | A.ラミレス 380本 | 山崎武司 1205打点 | − |
これは…難しいですね。
難しいですが私としては彼を推します!
- 平成最高の右打者:アレックス・ラミレス(ヤ→巨人→De)
- 首位打者 1回/本塁打王 2回/打点王 4回/セ・リーグMVP 2回
- 次点:清原和博(西武→巨人→オリ)
ラミレスについて
強打者の証である本塁打・打点のランカー中心に見ていくと、他に上位は中村紀・小久保・清原あたりでしょうか。
ラミちゃんは積み上げ型の数字では若干それら選手の後塵を拝しているようにも見える中で、打率右打者4位・生涯打率3割超えという部分に注目したいです。
打撃の主要3部門、打率・本塁打・打点のなかで、本塁打と打点は比例して伸びるケースが多い数字です。ですがそこに高打率を伴わせることがとても難しい。
プロ野球では一流の強打者のシーズン成績の指標として「3割 30本 100打点」という数字がよく使われます。2018年シーズンに巨人の岡本が史上最年少でこの数字をクリアしたことでも話題になりました。
ラミちゃんはこのシーズン「3割 30本 100打点」をなんと5回達成しているのです。
この凄さがわかるようにように「3割 30本 100打点」の達成回数を、上記の右打者一覧の選手で見てみます。
達成回数 | 選手 |
5回 | ラミレス |
4回 | カブレラ |
3回 | (該当者なし) |
2回 | (該当者なし) |
1回 | 中村紀、小久保、山崎 |
0回 | 清原、中村剛、新井、和田、内川、宮本、谷繁、古田 |
これを調べてみて「カブレラすげえな」って気づいたりもするわけですが、残念ながら彼は他の積み上げ型成績の不足で脱落です。
ラミちゃんの5回達成が「最高の右打者」候補の他選手を圧倒していることがわかります。
球史に名を残す名選手でも生涯1回できるかどうかという成績を、5シーズンも達成してしまう凄さです。
積み上げ型の数字ではやや劣るように見えますが、むしろ大物日本人選手と違い少し成績が落ちれば契約を切られてしまう外国人選手の立場で、逆によくここまで上位に食い込めたものだと思います。NPB通算13シーズンと、他の候補選手と比べて圧倒的に実働年数も少ないなかでのこの数字です。
「平成最高の右打者」には、強打と打撃の確実性という相反するものを非常に高いレベルで両立させ、またそれを長期に渡り継続した稀有なプレイヤー、ラミちゃんを推したいと思います。
…日本人選手を想定していましたが、考えていたらラミちゃんになってしまいました。
そうすると看板に枕詞が必要で「日本プロ野球の平成最高の右打者」ですね。
次点清原について
先述の右打者限定ランキングの一覧ですが、ほぼ全員が平成デビューで、したがい載っている成績がこれまでの生涯成績です。1人清原を除いては。
清原は昭和61年(1986年)のデビューで、初めの3年間を昭和の時代にプレーしています。
つまり一覧表の数字は、清原だけ3年分削られている数字なのです。
そこが「平成括り」のおもしろさではあるのですが、一方で比較相手の他候補者が全員生涯成績だとすると、ちょっと清原が可哀想な気もしてマイリマス。
ましてや、ふつうの高卒選手であれば最初の3年の成績は知れているところもあるのですが、清原は高卒1年目から常勝球団の中軸を打った早熟の天才でした。影響は小さくありません。
仮に、昭和の3年間を加えて他の候補者と同様に生涯成績で見ると、
本塁打数・打点は左打者含めたNPB1位の金本を上回ります。(当然右打者でも1位)
ちなみに本塁打数は松井(秀)をも上回ります。
安打数は右打者2位に相当します。
平成最高の右打者は?というお題に対して「昭和の成績入れて清原」とはちょっと言えませんが、でも次点くらいには推したいよなあと思った次第です。
日本プロ野球 平成最高の外国人打者は誰だ?
次に平成最高の外国人打者をピックアップしようと思っていたのですが、、そうするともう出ちゃいましたね。
- 平成最高の外国人打者:アレックス・ラミレス(ヤ→巨人→De)
- 次点:タフィー・ローズ(近鉄→巨人→オリ)
- 本塁打王 4回/打点王 3回/パ・リーグMVP 1回/シーズン55本塁打(当時のプロ野球タイ記録)
次点に挙げたタフィー・ローズは、本塁打数は金本に次ぐ全体2位、打点は全体7位にランクされています。
2001年シーズン、当時王貞治氏が持っていたシーズン最多本塁打記録に並ぶ55本塁打を放ったのは、彼の現役生活のハイライトでしょう。
「外国人」で括らなくても十分に平成の日本プロ野球を代表するバッターと言えます。
あれだけの強打者でありながら生涯打率.286も優秀です。
タフィー・ローズについては、これだけ優れた成績を残しながら日本野球殿堂入りが叶わないということで、海を越えて米メディアでも物議を醸しました。
参考 NPB通算464発T・ローズの日本殿堂入り落選に米疑問 「不可解な理由で排除」Full-Countまとめ
平成30年間の日本プロ野球の打撃成績ランキングをまとめた元記事を見て、いくつかの「平成最高打者」を勝手に妄想してみました。
- NPB平成最高打者:金本知憲
- 平成最高の日本人打者 (同率1位):イチロー、松井秀喜
- NPB平成最高の右打者:アレックス・ラミレス
- 次点:清原和博
- NPB平成最高の外国人打者:アレックス・ラミレス
- 次点:タフィー・ローズ
皆さんが考える「平成最高打者」はどの選手でしょうか?
関連記事です。
▼評価は年俸、のプロ野球の世界。NPBの高額年俸についてまとめています。「平成最高の日本人打者」松井もランクインしています。
日本プロ野球の歴代年俸ランキング【2021年版】